牛乳は牛乳であって、消費者の心の中で常に特別な意味を持ちます。 牛乳のようなものは他にありません。それともあるのでしょうか?
多くの植物由来の飲料はもともと乳製品の代替品として導入され、牛乳をベンチマークとして使用していました。 その人気は急上昇していますが、依然として従来の市場を支配しているのは牛乳です。 米国を例に示すと、2021 年の植物由来の飲料の売上は、小売牛乳の売上高(ドル)の 16% を占めています1。
1. 出典: 2021 年 Good Food Institute, Inc.,(米国)が詳細に述べている SPINS 分野
味についての質問では、消費者の意見は真っ二つに分かれているようです。 米国で実施されたある市場調査調査2によると、回答者の 47% が、乳飲料を植物由来の飲料に代える最大の理由に、「味が良い」からと回答しています。
2020 年の別の調査3によると、植物由来の飲料を拒否する消費者の 43% は「味が嫌い」という理由を挙げています。
2. 2016 年の Mintel Report on Non-Dairy Milk(米国)。
3. 2020 年の Ipsos quantitative research。
大豆は中国で少なくとも 2,000 年前から伝統的な飲み物に加工されてきましたが、大豆の工業的加工によって味と濃度がより牛乳に近い飲み物が提供されるようになったのは 1970 年代になってからです。 大豆飲料は、近代工業時代における第一世代の植物由来の飲料です。 大豆由来の分野は、世界の植物由来の飲料市場で最大の収益シェアを占め、現在でも依然、優勢です。 しかし、その他の植物由来の代替品も負けてはいません。 アーモンドやカシューなどのナッツのほか、ココナッツミルクや穀物、米、オーツ麦などのミルク代替品が、第二世代に含まれています。 オーツ麦に関しては、オーツ麦飲料が1990 年後半にスウェーデンで先駆者ともいえる Oatly 社から最初に発売されたのを機に、多くの市場が開かれました。
まもなく、マメ科植物や種からの新しい成分を使用した植物由来の第三世代が登場します。 エンドウ豆由来の飲料は、すでにいくつかの市場でスーパーマーケットの棚に並び始めています。 次に可能性があるのが、バンバラ豆、麻の実、アマニです。 麻の実は栄養価が高いだけでなく、抽出された液体の色が真っ白だという利点があります。 その外観は、牛乳をやめた消費者に好まれると思われます。
由来する植物が何であれ、色が成功の重要要素であることに変わりはありません。 加工中に加熱しすぎると褐色などに変色する傾向があり、これがメーカーにとって課題です。 このため、UHT 処理中は熱の負荷を最小限に抑える必要があります。 これが、植物由来の飲料分野で直接 UHT が優位である理由です。直接 UHT は、可能な限り製品を穏やかに熱処理しながら、同時に長期間の品質保持期限を保持する商業的な滅菌処理ができます。
下のグラフに、直接 UHT と間接 UHT の違いを簡単に示します。 どちらの場合も 80℃を起点に温度が上昇しますが、間接 UHT の場合、超高温になるまでの上昇が遅く、同じように長い時間をかけて温度が低下します。 直接加熱の場合は短時間で超高温に達し、その後急速に冷却します。 対照的に、間接 UHT では加熱も冷却も長時間にわたるため、製品はその間ずっと熱負荷を受け続けることになります。 これにより、間接 UHT では、繊細な植物由来飲料の色や味に影響を与え、品質を損なうリスクが高くなります。 植物由来の製品は、牛乳と比較して影響を受けやすく、わずかな熱でも変色します。
インジェクターでの処理は基本的に同じであるため、直接 UHT ユニットは、様々な植物由来の飲料を処理するために使用できます。 同じユニットは、牛乳の処理にも使用できます。処理中、比較的低い熱負荷が、好ましくない病原体を除去しながら、味や栄養など牛乳本来の品質を維持します。 これは、直接 UHT 技術で定評のある柔軟性の 1 つですが、お客様の特定のニーズに応じてラインをカスタマイズするたくさんの方法があります。
これまで牛乳は、搾乳から家庭に届けられるまでの期間、コールドチェーンで冷蔵保管されてきました。 その後、UHT 処理が、冷蔵を必要とせずにロングライフ牛乳を販売できる可能性を開きました。
対照的に、植物由来の飲料では第一世代の時から、長期間の常温保存が可能な UHT 処理が好まれてきました。
これらの飲料は、栄養価や味の点で牛乳に劣るかもしれませんが、ひとつの重要な点、色に関しては引けを取りません。 そのもともとの色は、直接 UHT の穏やかな処理であればこそ維持することができます。