食品と飲料の熱処理の間、温度は150 ℃の高温から室温近くまで下げられた後、洗浄ソリューションによる洗浄プログラムで140~150 ℃にまで再び上げられることがあります。その結果、熱交換器内部のスチール製部品に大きな負荷がかかります。
従来型のチューブ式熱交換器の構成部品は相互に接続または溶接されているため、熱応力に応じて曲がることや変形することはありません。その結果、金属疲労が発生して腐食や最終的には漏れにつながる可能性があります。
テトラパックチューブ式熱交換器に組み込まれているような浮遊保護システムは、膨張するよう設計されているため熱応力をすべて吸収します。熱交換器内の温度が上がると、チューブは外側にスライドして温度変化に伴う負荷を吸収します。温度が下がると、チューブは特製シールのサポートで元の位置に戻ります。これはマウンテンバイクのショックアブゾーバーのような仕組みです。
熱応力保護は、乳製品、食品、飲料の加工ライン向けの熱交換器の重要な要素で、大きなメリットがあると言えます。「熱応力の回避は、以前からテトラパックチューブ式熱交換器の基本となる設計原則でした。テトラパックの浮遊保護システムは独自のもので、多くのメリットがあります」と、テトラパック・プロセシングコンポーネントのビジネス開発およびマーケティングディレクターのBert-Ove Bejevikは言います。
何よりもまず、浮遊保護システムによってスチールの腐食の主要原因が排除されるため、このシステムは食品を保護し、食品の安全性と品質を保証する上で重要な役割を担っています。また、浮遊保護を備えたチューブ式熱交換器は、この機能を備えていないものよりも運用コストを抑えることもできます。「総保有コストは、浮遊保護システムを備えたチューブ式熱交換器のほうが通常は低くなります」と、Bejevikは言います。
もう1つの要因としては、一般的に浮遊保護のある熱交換器のほうが従来の熱交換器よりも長く稼働することが挙げられます。熱応力が生じなければ、コンポーネントの寿命は延びます。
その他のメリットとしては、浮遊保護システムを備えたチューブ式熱交換器のモジュラー設計により、従来モデルよりも検査とアップグレードがしやすくなった点があります。問題が生じた場合でも簡単に修理できます。溶接した熱交換器で穴や漏れが生じた場合には、エンジニアが該当コンポーネントをカットして修理を行います。
浮遊保護のある熱交換器の場合、摩耗した部品は簡単に取り外すことができ、摩耗していないものと簡単に交換できます。
「Heat transfer for sound performance」(優れたパフォーマンスを提供する熱伝達)(PDF)をダウンロードして、テトラパック熱交換器の浮遊保護システムとその他機能の詳細をご確認ください。