安定した高品質ヨーグルトの製造は、さまざまな要因に依存します。 最も重要な点は、ラインに適した殺菌装置を選択することです。
ヨーグルトミルクの殺菌装置は、ヨーグルトの加工処理の基本です。 ヨーグルト特有の味と口当たりを達成するには、温度を正確に制御することが重要です。
殺菌装置の熱処理は、ヨーグルトの構造を決定するうえで大きな役割を果たします。 加熱すると、ヨーグルトミルクのタンパク質の物理的な構造が変化し、ヨーグルト特有の濃厚な食感が生まれます。
「殺菌装置は、牛乳を最適な発酵状態にするため、ヨーグルト製造ラインにおいて重要な装置です」とテトラパックの加熱と殺菌のシニアスペシャリスト、Mikael Lövquist は述べています。
Mikael はまた、タンパク質の変性には、殺菌装置が適切な温度で動作し適切な時間牛乳を保持する必要があることを付け加えています。 「温度と保持時間を完全に制御することが不可欠です。」
ヨーグルトミルクは、特別に設計されたスパイラル状のホールディングセルで必要な時間(通常 5 分)保持されます。ホールティングセルは断熱材とステンレス鋼の被膜で覆われています。
温度の精度は、殺菌のみならず、脱気、均質化、発酵などの関連プロセスを効果的に進めるために最も重要です。
ヨーグルトミルクに含まれる空気は、ヨーグルトの品質に影響を与えるため、脱気装置を真空にして取り除きます。 このプロセスは、供給される牛乳の持つ一定の入口温度に左右されます。 温度が高すぎると、脱気装置の真空により温度が低下し、さらに加熱が必要になります。そのため運転コストも上昇します。
また、温度がコンデンサーの処理には高すぎる場合、製品の蒸気が過剰に排出され製品ロスのリスクが高まります。 逆に、供給温度が低すぎると、空気が十分に取り除かれない可能性があります。 最悪のシナリオは、真空脱気装置に気泡が充満し生産が中断することです。
最高の結果を得るためには、均質化や発酵など、その後の処理工程でも正確な温度制御が必要です。 均質化で温度が制御されていないと、澱粉などの特定の添加物が損なわれ、出来上がるヨーグルトの質に影響する可能性があります。
通常、ヨーグルトの培養菌は活発に増殖する温度範囲が非常に狭く、 わずかな変動でも、ヨーグルトの味や酸味、粘度、安定性に影響します。
ヨーグルトバクテリアの多くは 43℃で活発に増殖するため、ヨーグルトの製造ではおおむねこの発酵温度が使用されています。 製品の品質や発酵時間を変更する場合、1℃の範囲の温度調整が必要なことがあります。 この場合、細心の注意を払って正確に調整しなければなりません。
「テトラパックのヨーグルトパスチャライザーは、殺菌、均質化、脱気、そして発酵タンクへの出口温度を正確に設定できるよう設計されています」と、Mikael Lövquist は述べています。
ヨーグルトの製造では、ランニングコストも考慮すべき重要な事項です。 テトラパックパスチャライザーには、殺菌装置を起動する際に製品と水の混合を最小限に抑える低ロスバランスタンクが付属しています。
「バランスタンクとパスチャライザーを同時に満たすという二重の動作により、ユニットに製品を充填し始める前に、バランスタンクの水をほぼ排出することができます」と、Lövquist は説明します 。
ユニットを空にするときにも同じメカニズムが使用され、ヨーグルトミルクの最後の一滴は水により押し出されます。
従来型の充填排出方法を用いる一般的な設計の装置と比べると、テトラパックヨーグルトパスチャライザーには明らかな利点があります。 節約量は生産量によって異なりますが、テトラパックの設計では混合段階のロスを 68% 削減することができます。
テトラパックヨーグルトパスチャライザーは、様々な省エネ機能も備えています。 ハイバネーションモードでは、製造開始の待機中に、水が循環する際の蒸気使用量を 60% 削減できます。 これはホモゲナイザーの圧力をオフにし、冷却水の供給を一時停止して流量を低下することで達成されます。 始動と停止の時間がわずか数分のハイバネーションモードは、水を短時間で循環させて簡単に効率よく使用できます。
ヨーグルトパスチャライザーもまた、最適な熱再生ができるように設計されています。 固形ヨーグルトの場合、熱回収率が 93% まで高まります。 他のタイプのヨーグルトの場合は、出口温度が高いプロセスのため熱回収の範囲がしばしば通常よりも制限されます。
製造時間と製品ロスを最小限に抑えるために、テトラパックパスチャライザーには二重のシートセキュリティ設計のホットダイバートシステムが装備されています。 このシステムは、不十分な殺菌時間や温度に反応して、長いホールディングセルに入る前に製品を迂回させます。 すなわち、短時間の温度障害やフロー障害の後でも、CIP や滅菌処理なしで安全に生産を再開できます。 蒸気の供給が不安定な場合も、このシステムにより製造時間のロスを大幅に節約でき、製品を廃棄処分するような無駄がありません。
さらに、パスチャライザーの熱交換器プレートのへこみをより深くすると、プレート内部の面積が増え、より長い時間稼働できるようになるため、最大限の稼働率が達成されます。
テトラパックパスチャライザーには独自の汎用性があり、同じユニットでさまざまな製品や温度プログラムを作成できます。
テトラパックパスチャライザーはすべて高レベルで自動化されており、工場管理システムと容易に統合できるため、オペレーターはプロセス全体を把握することができ、総合的な工程管理が可能になります。
「タンパク質の変性が望ましくない一般的な牛乳の殺菌には低い殺菌温度が使われますが、直感的なオートメーションにより、飲料用牛乳とヨーグルトミルクの両方でパスチャライザーが作動できるようにしています。 」と Lövquist は説明しています。
飲料用牛乳からヨーグルトミルクに変更する場合は、自動バルプを使用して、牛乳の製造に通常使用されるテトラパック・セパレーターやテトラパック標準化ユニットをバイパスします。 同時に、パスチャライザーのヨーグルトミルクの設定は、スパイラル状のホールディングセルを自動的に接続し、出口温度を温かく設定して制御します。
「多目的のパスチャライザーの設計は、多くの異なる製品を小さなバッチで生産する乳製品メーカーにとって非常に便利です」と Lövquist は述べ、次のように続けました。 「さらに、より大きな容量を処理する場合でも、この設定で実行可能なため、その柔軟性を最大限に活用できます。」