食品・飲料生産におけるエネルギー消費を削減するための 5 つのステップ
エネルギー消費および関連する温室効果ガス排出量は、世界中の食品・飲料メーカーに影響を与える環境の持続可能性問題として上位にランク付けされています1。専門家は、これはエネルギー監視の強化、消費の削減、運用効率の向上、化石燃料への依存度の低下など、多面的な対応が求められる複雑で、多様な利害関係者が抱える課題であると認識しています。
エネルギー最適化への取り組みを始めるにあたり、まず業務の現状を評価し、どの分野で最も大きな節約の可能性があるかを把握することが有効な方法です。持続可能性評価は、設備とプロセスを明確に理解し、それらを改善する基準を確立します。協力して取り組むことで、最もエネルギー集約的なプロセスと非効率性を特定し、カスタマイズされたソリューションを提案することができます。
食品・飲料事業におけるエネルギー消費を削減するための実践的な 5 つのステップを紹介します。
エネルギー消費に対処することは、目先のコスト削減だけでなく、長期的な持続可能性と事業回復力を促進することでもあります。テトラパックは最新のテクノロジーを活用して、資源効率性を高め、さらなるコスト削減を推進します。
食品・飲料メーカーで広く使用されているセパレーターは、新しい技術がエネルギー消費の削減に貢献している分野の 1 つです。AirTight と特許取得済みの Encapt℠ テクノロジーを組み合わせることで、テトラパックの最新世代のセパレーターは、従来のセミオープン型セパレーターと比較して最大 40% のエネルギー使用量を削減します2。これらの節約は、優しい製品処理（酸素摂取のリスクを排除）と効率的なポンプの使用を組み合わせることで実現します。
また、テトラパックのベストプラクティスプロセッシングラインに革新的な技術を組み込むことで、使用エネルギーの削減にも役立ちます。個々の機器だけではなく、ラインレベルでのエネルギー効率に焦点を当てることで、すべてのコンポーネントが相乗的に動作し、全体的な節約と最適化されたパフォーマンスの向上につながります。これらの事前構成済みラインでは、ライン全体の効率に貢献するために各モジュールが選択されています。
例えば、テトラパックの OneStep テクノロジーを採用したヨーグルトミルクのベストプラクティスラインは、分離、標準化、混合、熱処理という複数のプロセスステップを 1 つにまとめています。より少ない設備で、水の消費量を最大 49%、電力消費量を最大 41%、熱エネルギーを最大 16% 削減できます。これにより、従来のソリューションと比較してカーボンフットプリントが 25% 削減されます3。
よりエネルギー効率の高い包装作業のために、テトラパック® E3/Speed充填機ハイパー充填機は、従来の包材の滅菌方法ではなく eBeam 技術を採用しています。これにより、化学薬品の必要性がほとんど排除（99%の削減）され、H2O2 の予熱、加熱、蒸発乾燥が不要になり、エネルギー消費量が約 3 分の1 に削減されます4。
消費されたエネルギーの取り込みと再利用は、業務におけるエネルギー消費を削減するもう 1 つの優れた方法です。多くの工程は過剰な熱を発生させます。これを使用せずに放置すると、エネルギーの無駄につながる可能性があります。この熱を回収して再利用することで、全体的なエネルギー消費とコストを削減できます。
熱交換器は、低温殺菌、調理、冷蔵などのプロセスから廃熱を回収するための装置の例です。例えば、乳製品工場の熱交換器は、殺菌済みの牛乳から熱を回収し、それを使用して、注入される冷たい牛乳を予熱することができます。これにより、低温殺菌工程に必要なエネルギー量が削減されます。食品と飲料を温める主な方法は 2 つあります。1 つ目の方法は製品対水（P2W）熱交換器を使用する方法で、熱湯を介して製品に熱を伝えます。2 つ目は、既に加熱された製品を循環させ、そのエネルギーを利用して未滅菌製品を加熱する方法です（P2P）。テトラパックは 20 年間 P2P の熱伝達法を使用しており、良好な結果を得ています。蒸気および冷却水の必要性を減らすことで、P2P 技術を搭載した テトラパック® チューブ式熱交換器は、同等の製品対水ソリューションと比較して、最大 55% のエネルギー節約を実現します。さらに、必要なチューブ式熱交換器モジュールが少なくなり、総所有コストを最大 55% 削減できます。
既存の機器を最適化することで、生産の日々のユーティリティ消費量とコストの両方を削減できます。何十年にもわたる業界の専門知識に基づき、当社は後付け可能キット、事前定義された製品、カスタマイズされたソリューションなど、包括的なアップグレードポートフォリオを提供し、お客様の生産ラインのパフォーマンスを向上させ、サービスの耐用年数を延ばします。お客様と緊密に協力することで、テトラパックの専門家はお客様のビジネスのために資源効率を高めるソリューションを提案することができます。
例えば、テトラパック® ホモゲナイザーにホモゲナイザーデバイス HD100 を追加すると、ホモジナイズ圧力の必要性が最小限に抑えられ、従来の設計と比較して年間最大 26% のエネルギー節約が実現します6。同様に、Tetra Pak® A3/Flex 充填機の空気圧シリンダーを DIMC サーボ駆動ツールボックスに置き換えることで、圧縮空気消費量を年間最大120,000 m3 削減できます7。
ポンプなどのプラントコンポーネントは、生産プロセスを維持するために長期間連続運転されることが多いため、コスト削減の余地がある分野です。ポンプを可変周波数ドライブ (VFD) と組み合わせると、年間エネルギー消費を最大 20% 削減できます8。これは、VFD が粘度、揚程圧力、流量に基づいて各ポンプの速度を自動的に調整するためです。
もう 1 つの省エネプラントコンポーネントは、タンク用の高効率攪拌器です。効率的なプロペラ設計により、これらのアジテーターはよりゆっくりと作動し、製品をより良く混合しながら、エネルギー消費を最大 80% 削減します9。
使用する機器の選択はエネルギー消費量に確実に影響しますが、工場全体のレベルでユーティリティの消費を考慮することが重要です。廃熱の再利用と再生可能エネルギー源を活用するソリューションを導入することで、プラント全体のエネルギーパフォーマンスをさらに向上させることができます。
テトラパックの工場の持続可能なソリューションチームは、お客様と協力してニーズを理解し、収益性を向上させながら、資源効率を全体的に改善する機器を提供します。太陽熱モジュールとヒートポンプは、テトラパックの工場の持続可能なソリューションの一部として導入可能な 2 つの省エネ技術です。例えば、ダイレクト UHT ラインで HighLift™ ヒートポンプを使用することで、蒸気消費量を最大 7,000 mWh 削減し、CO2 排出量を年間最大 2,000 トン削減できます10。
エネルギー消費量を監視することで、目標に対する進捗状況を経時的に追跡できます。プロセッシング、梱包、物流の業務を統合し、自動化とデータのインサイトによりオペレーションを最適化し、リアルタイムの生産データに接続することで効率を高め、コストを削減し、継続的な改善を推進する情報に基づいた意思決定を行うことができます。
テトラパックのオートメーションおよびデジタルプラットフォームの環境およびエネルギー管理モジュール、テトラパック® プラントマスターを使用すると、プラントの持続可能性パフォーマンスを監視し、関連する運用 KPI を算出することができます。プラント全体（プロセッシングおよび梱包）または一部からユーティリティ消費データを収集することで、運用全体のエネルギー効率を向上させるために必要なインサイトが得られます。
一方、アセットヘルスモニタリング （AHM）は、特定の機器の電力、水、圧縮空気の消費量を継続的に監視および分析し、偏差を強調して、現在の動作条件に基づいて最善の対応を提案するデータ駆動型のコラボレーションサービスです。AHM は、特定のテトラパック機器向けの既製のソリューション、カスタマイズされたセンサーキットとユーザーインターフェース、テトラパック機器向けに設計された安全なネットワークなど、「ゼロから」の包括的なアプローチを採用しています。
業務に合わせたソリューションにご興味はありますか？
上記の 5 つのステップは、食品・飲料メーカー業務における使用エネルギーを削減するための幅広いアプローチであり、その実施に向けた具体的な提案も伴います。いつでもご連絡ください。当社の専門家がお客様と連携し、お客様の業務全体におけるエネルギー削減の機会を特定します。
1 地球規模の課題とその食品・飲料メーカーへの影響に関するテトラパックの B2B リサーチ、2023 年、n= 346
2 従来のセミオープンセパレーターと比較し他場合。製造のシナリオ：稼働時間 20 時間/日、340 日稼働/年、送水ポンプとブースターポンプを含む 55,000 リットル / 時のホットミルクの脱脂
3 適用範囲：生乳サイロの出口からヨーグルトミルク殺菌機の出口まで（余剰クリームおよび粉末システムのプロセスは含まれない）。ヨーグルトミルクの準備のための生産シナリオ：15,000 リットル/時 、 8 時間 x 2 回/日、300 日/年。製品: ヨーグルトミルクの組成は、下記に示すとおり、脂肪 1.5%、タンパク質 4.0%、添加糖類 5%。生乳 98%。余剰クリーム -6%。スキムミルクパウダー 2%。砂糖 5%。澱粉 1%。合計 100%
4 ポーションパッケージのテトラパック® A3/Spped充填機との比較
5 製品：全乳、容量：20,000 リットル/時、年間生産時間 6,000 時間、蒸気コスト 0.04 ユーロ/kg、冷却コスト 0.03 ユーロ/キロワット時
6 200 バール、30,000 リットル/時、6,000 時間/年で 3.5% 脂肪牛乳を稼働したとするテトラパックホモゲナイザー 350 を基にした計算
7 4,000 時間/年を基にした計算
8 VFD なしの従来のソリューションを、VFD を搭載した2つの LKH ポンプに置き換えることによる。
9 従来の攪拌器を省エネ効果の高いフォイルプロペラを備えたアルファラバル攪拌器と交換
10 Direct UHT ユニットに 2 つの HighLift™ヒートポンプを搭載したソリューション。200℃ までの温度、7 バールの蒸気圧、COPh値 ~2 に適用可能