食品・飲料生産における水と洗浄化学薬品の消費を削減するための 5 つのステップ
水は、原料として、または製造および洗浄工程の主要部分として、食品・飲料業界において重要な役割を果たしています。資源の不足と規制がますます厳しくなる環境で操業するメーカーとして、持続可能性の目標を達成し、運用コストを削減するためには、水と洗浄用化学薬品の消費量を削減することが不可欠です。
改善の余地が最も大きい分野を特定することが、着手する最善の方法です。持続可能性評価は、設備とプロセスを明確に理解し、それらを改善する基準を確立します。テトラパックと協力して、水の消費量を削減し、使用済みのプロセス水をリサイクルする方法など、短期的な成果が期待できる分野と長期的な改善分野を特定することができます。
ここでは、水と洗剤の消費を削減するための実践的な 5 つのステップを紹介します。これらのステップは相互に排他的ではなく、この問題に取り組むための有益な方法です。
最初のアプローチは、生産と洗浄に必要な水と洗剤の量を最小限に抑えるのに役立つ最新の資源効率の良い機器を導入することです。
UHT 技術は、水の節約を目指す乳製品メーカーにとって重要な分野であるため、テトラパックの最新の Tetra Pak® ダイレクト UHT ユニットは、これらの要求を満たすように設計されており、プレミアム品質、高い柔軟性、高レベルの効率を提供します。コンパクトな設計により、水の需要を最大 6% 削減します。さらに、蒸気インジェクター、フラッシュ容器、コンデンサーの独自の設計により、最大 37% の化学薬品の節約が可能になります1。
その一方で、テトラパックの統合されたベストプラクティスラインは、総所有コストを抑えながら、生産量を増やし、資源効率を改善するように設計されています。例えば、ジュース、ネクター（果汁25～99％）、清涼飲料のベストプラクティスラインは、エネルギーを最大 67%、水を最大 50% 節約するのに役立ちます。製品ストリーム全体を低温殺菌する従来のセットアップと比較して、このシステムは濃縮物のみを加熱処理し、UV 光と膜処理で水を処理し、殺菌機のシステム容量を全量削減し、洗浄する機器を減らします。
水の節約に有効なもう 1 つの方法は、プロセス水と洗剤を生産工程から回収し、再利用することです。従来の食品プロセッシングでは排水がそのまま下水に流されることがありましたが、適切な技術を導入することで、排水を機器の洗浄や食品プロセッシングに再利用することが可能です。
RO膜やNF膜などのメンブレンフィルトレーション技術により、食品プロセッシング中の廃水の回収と再利用が可能になり、水の消費量と排水量の両方を削減できます。例えば、洗浄水は、洗浄目的または製品自体での使用のいずれかで再利用するために膜処理によって精製することができます。CIP洗浄に使用された化学薬品を洗浄水から分離して再利用し、精製された水を工程内で再利用することが可能です。
水と洗剤の消費量を削減する第 3 のアプローチは、アップグレードにより現在の機器の効率を最適化することです。例えば、テトラパック® 浄水ステーションは、充填機によって生成される廃水を最大 95% 節約できます2。潤滑油、包装材の残留物、過酸化水素、アルカリ性の pH を除去し、汚染物質のないきれいな水をシステムに循環させます。
さらに、水の回収を強化するためのアップグレードも提供されています。ECO 冷却ホモジナイザーなどの循環システムを使用すると、閉ループでホモジナイザーから冷却水を回収することで、年間最大 6,750 m3 の水消費量を削減できます3。同様に、Tetra Pak® インダイレクト UHT ユニットおよび Tetra Pak® 低温殺菌機で使用される脱気凝縮器の ECO 冷却は、冷却水を再循環する閉ループシステムで年間最大 10,240 m3 の水消費量を削減します4。
低温殺菌装置と UHT 装置の両方に適用できるさらなる節水アップグレードの 1 つとして、休止モードがあります5。滅菌前と生産の間に時間差がある場合、ユニットを自動的に休止状態に設定することができ、これにより、滅菌水循環中に使用する冷却水量を最大 60% 削減することができます。
水や化学薬品の消費量を削減するのに役立つ多くの装置のアップグレード、および業務におけるエネルギー消費と廃棄物の削減に役立つその他の機器のアップグレードについて詳しくは、テトラパック® アップグレード パンフレットをご覧ください。
洗浄は現代の食品生産工場の総水消費量の大部分を占めるため、ここでも節約の余地があります。効率的な洗浄システムは、高い衛生基準と食品の安全性基準を確保しながら、水の使用を最小限に抑えるように設計されています。
ThinkTop V50 や V70 などのスマートプラントコンポーネントは、ミックスプルーフ・バルブやドレイン・バルブの CIP洗浄 時に、水、化学薬品、加熱、廃水を最大 90% 節約できます6。これは、ThinkTop の直感的でインテリジェントなバルブ制御、自己診断、高速バースト洗浄によるものです。
最小の機械部品でさえ、ノズルやスプレーヤーなどの一見シンプルな要素で節水を可能にし、水の消費量に大きな違いをもたらすことができます。例えば、タンク洗浄にロータリージェットヘッドを使用すると、タンク壁を完全にカバーする 360°の反復可能なインデックスパターンで強力な洗浄が可能になります。従来のスプレーボールよりも水の使用量が少なく、最終的に洗浄時間を短縮し、洗浄コストを最大 70% 削減します7。
機器とプロセスを改善したうえで、適切なオートメーションとデジタルソリューションを導入することで、水使用量を継続的に監視して最適化することができます。
アセットヘルスモニタリング（AHM）は、特定の機器の電気、水、圧縮空気の消費量を継続的に監視および分析し、偏差を強調し、現在の動作条件に基づいて最適な対応を提案するデータ駆動型のコラボレーションサービスです。AHM は、テトラパックの特定の機器向けの既製のソリューション、カスタマイズされたセンサーキットとユーザーインターフェース、テトラパックの機器向けに設計された安全なネットワークなど、包括的なアプローチを採用しています。
よりトップダウンのビューを得るため、テトラパックの自動化およびデジタルプラットフォームのレポートモジュールであるテトラパック®プラントマスターは、洗浄中に消費された水、苛性、および淡水による洗浄の量に関するリアルタイムおよび履歴データを含む洗浄レポートを提供します。対処が必要な異常値はハイライト表示され、可能な限り最高の洗浄効率を確保できるようサポートします。
業務での水や洗剤の節約に関心をお持ちですか？
上記の 5 つのステップは、食品・飲料メーカー業務における水と洗剤の使用を削減するための幅広いアプローチであり、その実施に向けた具体的な提案です。いつでもご連絡ください。テトラパックの専門家がお客様と連携し、お客様の事業全体で水と洗剤を節約するための重要な分野を特定します。
1 地球規模の課題とその食品・飲料メーカーへの影響に関するテトラパックの B2B リサーチ、2023 年、n= 346
2 https://food.ec.europa.eu/horizontal-topics/farm-fork-strategy_en
3 顧客のプロテインパウダー加工の現場経験に基づく、典型的な生産シナリオ。年間 300 営業日、35,000 kg のバッチサイズ、4 バッチ/日、および 6 ユーロ/kg の DM 製品コスト。
4 回収ソリューションを一切使用していない場合と比較して、逆浸透液を使用した場合。
5 休止状態のない機械と比較し、公称容量（15000リットル/時）で稼働。正確な節約率は機器によって異なります。
6 キットを設置せずに年間 4,000 時間稼働する充填機に基づく
7 https://www.tetrapak.com/insights/cases-articles/how-automation-improves-efficiency-quality-waste