2. メンテナンス
均質化圧力を増加させることで影響が生じるのは、電力需要だけではありません。機械の修理費用や修理頻度も増加します。
ホモゲナイザー内の圧力が高くなると、バルブやシールなどの重要な部品に大きな負荷がかかります。その結果、摩損や損傷が起こるため、低い圧力に設定された機械よりも定期的なメンテナンスが必要となり、長期的にメンテナンスの必要性が大幅に増加することになります。故障のリスクを回避するため、部品の交換も頻繁に行う必要があり、予備品への多額の投資につながります。
食品加工処理ラインの立ち上げには、多くの意思決定が伴います。乳製品メーカーが新しい工場に投資する場合でも、食品業界向けのソリューションを設計するインテグレーターの場合でも、多くの意思決定を左右するのはコストです。しかし、ホモゲナイザーのような主要機器の場合は、表示されている値段だけでなく、多くの要素を考慮する必要があります。
テトラパック、ホモゲナイザーアプリケーションスペシャリスト、Pavlos Kouroutsidis
このような運用コストは、投資額やラインのコストを算出する際に考慮に入れる必要がある「見えないコスト」です。そこで、私たちの専門家がホモゲナイザーの総コストに影響を与える可能性のある運用上の要因トップ 5 をリストアップしました。
多くの場合、エネルギー消費がホモゲナイザーの総ライフサイクルコストに影響を与える最も大きな要因です。そしてエネルギー消費に影響を与える最も大きな要因は、均質化の圧力です。
つまり、250 バールで稼働するホモゲナイザーは、180 バールで稼働するホモゲナイザーよりも多くの電力を必要とします。より高い圧力を必要とするため、加圧して均質化装置の隙間から製品を押し出すピストンを駆動するのに、より大きな動力が必要となります。ホモゲナイザーが一日中稼働している連続生産環境では、追加の電気代はすぐに膨れ上がります。
ほとんどのビジネスにとって、電力需要はもはや単なるコストの問題ではありません。サステナビリティマネージャーが、工場のエネルギー効率を高め、ライン全体のカーボンフットプリントを削減するための新しい方法を模索する中、個々の機器に必要な電力要件はますます厳しく精査されるようになっています。
だからこそ、ホモゲナイザーの圧力を適切なものにすることが重要です。工場の多くでは、適切なレベルの均質化を達成するために、実際に必要な圧力よりも高い圧力が必要だと考えられています。場合によっては、圧力を制限し、それによってエネルギー消費を抑えながら、粒子や脂肪球を必要なサイズまで小さくすることができます。
均質化圧力を増加させることで影響が生じるのは、電力需要だけではありません。機械の修理費用や修理頻度も増加します。
ホモゲナイザー内の圧力が高くなると、バルブやシールなどの重要な部品に大きな負荷がかかります。その結果、摩損や損傷が起こるため、低い圧力に設定された機械よりも定期的なメンテナンスが必要となり、長期的にメンテナンスの必要性が大幅に増加することになります。故障のリスクを回避するため、部品の交換も頻繁に行う必要があり、予備品への多額の投資につながります。
メンテナンスコストの問題に加えて、摩損や損傷が増加することで生産過程で問題が発生するリスクも高まり、予期しないダウンタイムにつながる可能性があります。実際、ホモゲナイザーの総合的な信頼性は重要な考慮事項です。設計はどの程度実証されているでしょうか? 消耗部品は頑丈な素材でできているでしょうか? 問題が深刻化する前に問題を特定できるよう、簡単に点検でき、部品にアクセスできるでしょうか?
新しい機器に投資する際にはあまり考慮されないことですが、予期しないダウンタイムは機械のコストに大きく影響します。メンテナンスの必要性が増加するだけでなく、問題が解決するまでラインが動かないため、収益性も低下します。
ダウンタイムの影響は、機械設計だけでなく、サプライヤーの能力にも左右されます。たとえば、何かが起こった時にサプライヤーが予備品を迅速に供給できない場合、数日、もしくは 1 週間以上もホモゲナイザーが使用できない状態が続く可能性があります。極端なケースでは、ダウンタイムが長引くと、製品ロスによりさらにコストがかさむことになります。腐敗した未加工の原材料は廃棄する必要があるからです。
エネルギー消費と同様に、様々な機器で必要となる水は、食品加工処理ラインのコストと環境フットプリントの両方に影響を与えます。したがって、水の消費量を最適化し、より効果的に水を使用するテクノロジーを特定することは、オペレーションマネージャーとサステナビリティマネージャーの双方にとって重要です。
そのため、特定のタイプのホモゲナイザーでは、ピストン冷却システムを検討する必要があります。その理由は、冷却水のニーズ、さらにライン全体の水の消費量に大きく影響を与えるからです。現在では様々なタイプの冷却システムがありますが、他のシステムよりはるかに大量の水が必要になるものもあります。場合によっては、2 台のテクノロジー間の冷却用水の消費量の差が 50 % を超えることもあります。
ホモゲナイザーは、製品の品質水準を適切なものに保つうえで、重要な役割を果たします。たとえば、乳製品やアイスクリーム製造の用途においては、ホモゲナイザーは牛乳内の脂肪球のサイズを小さくして、消費者のニーズに合った特性を持つ製品を作り出すために使用されます。
製品の品質は一見「コスト」の考慮事項ではないように思えるかもしれませんが、最終的には、事業の収益性に大きな影響を与える可能性があります。正確な均質化を確実に実現するテクノロジーがあれば、消費者の期待に応える製品を一貫して製造することができます。これは、消費者が繰り返し利用したいと感じる信頼できるブランドを構築するために不可欠な要素に繋がります。
低品質のホモゲナイザーソリューションに投資することは、短期的には節約になるかもしれません。しかし、製品の品質や収益性を損なうような一貫性のない結果が生じるリスクが上がります。また、圧力、電力、メンテナンス、水の需要が高い非効率的なテクノロジーを使用する可能性が高くなります。要するに、初日からこういった要因をすべて考慮することで、最初からコストを可能な限り低くできる可能性が高くなります。
テトラパック® ホモゲナイザー 15C およびテトラパック® ホモゲナイザー 20C は、非常に効率的な HD21(第 2 段階が統合された 1 段式のホモゲナイザー)で構築されています。直列に 2 つの機器を必要とする 2 段式ホモゲナイザーとは対照的に、部品点数が少なく、設置面積も小さくなっています。部品の寿命を 2 倍にする回転性のメリットも得られる HD21 機器を使用することで、長期的に大幅なコスト削減を実現します。